...好き。
…知ってる。
ハスキーでも透明感がありすぎる訳でもない。
少し高めの、大好きな…声。
「おお、奏汰君 おはよう」
パパは車の中から右手をあげる。
「パパ?…こちらはどなた?」
後ろを振り向けない。声が震える。
パパの肩に力強い手を置いたまま、パパに聞く。
「???奏汰君たちだよ。菜乃花、大好きじゃないか」
…え?奏汰って…あの、カナタ?
「ふふっ、もう。パパったら冗談が上手になって…」
「菜乃花、後を見てみたらいいじゃないか」
無理よ。絶対に無理。違うもの。
人違いよ…。
認めたくない。
違った時、どんなに苦しいか。
「…お嬢様…。チャイムが鳴ってしまいます」
「ほら、菜乃花」
私を急かすパパと川田。