君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
あたしがこれから帰る家があるのも。
全部浩ちゃんのおかげ。
浩ちゃんがいたから、あたしは戻れる場所ができた。



「うん。俺もちゃんと話してみる」



ポンっとあたしの頭を撫でる。



「うん、また仲良い兄弟に戻ってほしい」


「あぁ、俺もできるなら戻りたい」



あんなことがある前、浩ちゃんは恭一くんのことがすごく大好きで。
家族と仲の良くなかったあたしにとって、とても羨ましいふたりだった。

それを知ってるからこそ、そんなふたりをまたみたい。
こんどはあたしも、自分の家族と仲良くいられるはずだ。



「まだ、好きだとか言われたら、今度こそ長さとか関係ねぇから言ってやるんだ」


「まだ根に持ってたんだ」


「あたりめーだろ」



あのとき、恭一くんは浩ちゃんに言った。
『俺は、愛莉ちゃんが中三のときから好きだ。長さでは勝ってる』って。

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