君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「おっとっとっと」



曲がり角を曲がったところで、人にぶつかりそうになって、立ち止まる。



「あー、悪ぃ。大丈夫か?」


「あ!はい」



見上げると、そこには切れ長の瞳をした背の高い男の子が立っていた。

同じ高校の制服だ。



「いっけね!俺、急ぐから!」



彼も遅刻しそうなのだろう。
というか、遅刻なのだろう。

大慌てで、走っていった。



「はやっ」



あっという間に見えなくなる姿唖然としてしまう。



「あたしも急がないと!」



ハッと我にかえって、遅い足をなんとか動かして、頑張って走る。


さっきの人の顔を頭に浮かべながら。

何年生なんだろうとか。
同じ学年だったらまた会えるかなとか。
ドキドキした感情に戸惑っていた。

一瞬しかみていないのに、あたしの脳裏からは離れてくれなくなっていて。
こんな経験初めてだった。

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