君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「俺がお前と食べたいから」


「……え」



あまりにストレートに言ってくるから。
あまりにあたしのことをまっすぐに見てくるから。
目が離せなくなってしまう。



「佐々さん、浩一に誘われるなんてすごいことなのに迷ってるかんじ?それなら、あたしに返してよ」



彼のまわりにいつもいる女の子が隣にやってくる。



「おい、返せってお前のじゃねぇよ」


「えー?だって1番一緒にいるのはあたしじゃない」



彼の腕に自分の腕を絡ませる。



「だからってお前のものではないよ」



鬱陶しそうに彼女の腕ほどく。



「なぁ、行かないの?屋上でもいこうよ」



あたしにもう一度向き合ってくれる。



「う、うん」



この人と話したい。
この人のこともっと知りたい。

ずっと思ってたことだった。
あたしは机の上に置いたお弁当の包みをもって席を立ち上がる。

< 114 / 193 >

この作品をシェア

pagetop