君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「ねぇ、愛莉ちゃん」



浩ちゃんがみんなの輪の中にあたしを入れてくれて、しばらくたった頃。
浩ちゃんのそばにいつもいるうちの一人、京香ちゃんに声をかけられた。



「京香ちゃん」



京香ちゃんは、浩ちゃんのまわりにいる女の子なかで、たぶん1番浩ちゃんにくっついていると思う。



「愛莉ちゃんって浩一のことが好きなの?」


「……え?」



京香ちゃんにきかれたことにあたしはすぐに返答はできなかった。

たしかに、浩ちゃんといるとドキドキする。
でも浩ちゃんと一緒にいたい。

これが恋なのか、どうかあたしにはわからなかった。
恋なんて、したことがなかったから。



「浩一には、忘れられないない人がいるから、好きになっても無駄だよ」


「……っ」



わすれらない人。
京香ちゃんのその言葉があたしの胸を締め付ける。



「あれ?愛莉ちゃん?」



教室で立ちすくんでいると、後ろから肩をポンっと叩かれる。

< 119 / 193 >

この作品をシェア

pagetop