君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
だって、誰よりも見てきた。
小さな役でも一生懸命その役に命を吹き込むさまを、一番近くで見てきたはずだった。

はじめに入った養成所を一年でクビになったときも、浩ちゃんのこと励ましていたつもりだった。

事務所が決まったときも、一緒に喜んだ。
それから少しずつ、小さな役だけど、オーディションに受かって。
ずっとずっと頑張ってきた浩ちゃんのこと、見てきたんだ。

嬉しくないはずがない。



「でも、さすがに凹むなぁ……」



そっと、週刊誌を置いて、来た道をもどる。



「もう、全て終わりにしよう」



一緒に住んでいた部屋は、浩ちゃんの一番近くで、一番遠い場所だった。
浩ちゃんと夢を語り合った場所だった。
でも、1人で浩ちゃんの帰りを待つ場所でもあった。

週刊誌の記事なんでどうだっていい。
こんなの、ただの話題作りだから。

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