君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「突然すみません。事情があって引っ越すことになったので、やめさせてください」



勤めていたカフェも辞めた。
ここのカフェは浩ちゃんがきてしまうから。

だから、少しだけ離れた場所に引っ越して。
カフェもその近くにかえた。



「カフェプランナーとコーヒープロフェッショナルを持っているのねー。その資格、生かしましょ」



新しいカフェの面接で店長がにっこりと微笑んだ。



「はい!」



東京に来て5年間。
ひとつのカフェで働き続けて、資格もとった。
カフェで働くには申し分のない資格だ。

本当はいつか、カフェを自分で開く夢がある。
本当は、浩ちゃんと「朗読劇とかやって若手いくせいするのもいいよね」なんてふたりで語ってたこともあった。

ひとりじゃできないんだよ、そんなの。
でも、これからあたしは1人で夢に向かって走るの。
後ろは振り向かない。

浩ちゃんと離れて1人でやっていくことに不思議と不安はなかった。

あたしの新たな生活がはじまった。

< 141 / 193 >

この作品をシェア

pagetop