君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
2段目、3段目とあけてみても状況は変わらない。
愛莉の服だけがごっそりと消えている。



「なんだよ……これ」



恐る恐る、玄関にあるクローゼットを開いてみても愛莉の服はなにもかかってやしない。



「なんかのイタズラか……?」



わけがわからず、リビングに戻ると目に入ったテーブルの上の1枚の紙。



「愛莉の字……」



見えてきた文字に慌ててテーブルへと駆け寄る。



「なんだよ、これ……」



その紙みて、そうとしか言えなかった。



〝浩ちゃんへ〟
そう書かれた文字は明らかに愛莉の字だった。

高校1年のときから、大好きだった。
こいつしかいないと、ずっと好きじゃなくなったことなんかない。
言ってみれば、あのころよりもずっとずっと好きだ。



〝初主演おめでとう〟
そう書かれた文字にハッとする。

< 144 / 193 >

この作品をシェア

pagetop