君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
もう、不可能なのだろうか。
愛莉を取り戻すことは。

もう少し、一緒にいる時間を増やせばよかった。
ちゃんと話をすればよかった。
ちゃんと自分には愛莉しかいない、愛莉が必要だということを伝え続ければよかった。

いつしか、愛莉がいることが当たり前になって。
寝顔でも愛莉の顔を見れたら仕事の疲れなんて吹っ飛んで。
それで、愛莉が離れていくなんて考えたこともなかった。

高校1年からずっと一緒だった。
9年だぞ。



「来年10年目だから、結婚しようとしてたのにな……」



もっとはやくしておけばよかったんだろうか。
愛莉のことを薬指の指輪でしばりつけておけばよかったのだろうか。

でも、仕事が軌道に乗らないうちに結婚なんてこと、俺には踏み切れなかった。

周りの仕事仲間は、彼女とどんどん結婚してっていったけど、なかなか芽が出ないうちに愛莉を守るなんて、そんな自信俺にはなかった。

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