君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「おいおい、どうした?心ここにあらずって感じだぞ?」



次の日の撮影。
前の日、全然寝れなくて、ほぼ完徹のまま現場にきた。
そんなコンディションで最高の演技なんかできるわけがなく、ついには監督に注意される始末。



「……っ、すいません。ちょっと、頭冷やしてきます」



撮影に臨んでいても、浮かんでくる愛莉のこと。
本当ならこのまま愛莉を探しにいきたかった。
はじめて、撮影を投げ出したいと思っていた。



「浩一、なんかあった?」



後ろからトンっとペットボトルを肩に乗せられる。



「田城……サンキュ」



田城の手からペットボトルを受け取って、ゴクリの1口飲む。



「珍しいな。お前があんなんなるのさ」


「……あぁ、自分でもびっくりしてる」



養成所時代からここまで、あんなふうになることは本当になかった。
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