君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
どんだけ緊張してたって、それなりにこなしてきた。
そんな俺がたかが女に逃げられたくらいで、こんなふうになるとかカッコ悪すぎて笑えない。



「なにかあったんだろ?」


「昨日さ、家に帰ったら愛莉がいなかってたんだ」


「……ん?いなかったって?」




ただ単にどこか出かけてるだけならよかった。
帰ってきてくれるのであれば、家を空けてくれていても構わなかった。

でも、愛莉はもう帰ってこない。



「出てったんだよ」


「え?マジ?」



横に座る田城はすげぇびっくりしたようで、空いた口が塞がらなくなってる。




「びっくりだよな。俺だってそうだ」


「連絡は?」


「無理だった。LINE消えてて、携帯も繋がらないし。バイト先ももうやめてた。どこ行ったか全然わかんねぇ……」



あの後一応、愛莉の実家にも電話をした。
……が、無駄足だった。

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