君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「おお、ありがとう」



嫌がる様子も見せず、お弁当を受取ってくれたことにまずはほっとする。



「食べてみてよ」


「なんか、記憶戻る要素ありそう?」



お弁当箱を見つめてから、あたしの顔をみつめる。



「わかんないけど、高校生の頃によく食べてたから」


「そっか。おお、うまそ」



お弁当箱の蓋を開けて、笑顔をみせる浩ちゃん。



「俺の好物ばかりじゃん」


「うん、わかってるからね。浩ちゃんの好物」


「……だよなぁ、いただきます」



口に入れて「すげーうま」って、言いながら食べて。
その様子があの頃の浩ちゃんとなんら変わってなんていなくて。

涙が溢れてきそうで、ぎゅっと唇を噛む。



「……あのさ、俺君のことだけどうしてもわからない」



あたしの表情の変化に気づいたのか、浩ちゃんがふっと真面目な表情になる。

< 156 / 193 >

この作品をシェア

pagetop