君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「え……これ?」



仕事が終わって、大ちゃんの家に行くとリビングに服がかかっていた。

明らかに女物の服。
それも、とても綺麗なドレス。



「こんな素敵なもの……」



大ちゃんが用意してくれたドレスをハンガーからとって、自分の手で触れる。



「すごい……触り心地がいいな」



触り心地でわかる。
あたしが普段着ているような安い服なんかじゃないって。

こんな素敵なものをもらって、なにも返さないなんてできない。
でも、あたしには返せるものなんてないから。
ただ、大ちゃんのことを愛していく他にはできることはない。



『あ、愛ちゃん。服見たかな?』



ドレスに感動していると、大ちゃんから電話がきた。



「うん。とても素敵」


『よかった。ほら、そろそろ家の前につくから降りておいでよ』


「うん。着替えて下に行くね」

< 16 / 193 >

この作品をシェア

pagetop