君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
ここが病院ということを忘れそうになってしまう。
ここが家なら、確実に愛莉のに俺を久しぶりに刻んでた。



「車椅子でもさ、できること探そうよ」


「できること……?」


「うん。芸能界だって道がないわけじゃないでしょ?ね?」



愛莉が横においたカバンから、1冊の本をだす。



「あ、これ……」



事故で下半身不随になってもなお、グラドルを続けている人の本だった。



「すげぇよな、この人」



俺にはすぐに引退の文字がチラついたというのに。
この人は二度と歩けないというのに、まだ続けている。



「この人も引退の文字はチラついたんだよ」


「……え?」


「大丈夫。この人より、浩ちゃんのほうがまだ未来は明るいんだよ」



たしかに、この人は俺よりも重度の麻痺だった。



「……そっか」



愛莉の言葉につかえていたなにかが溶けていく気がする。

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