君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい

✱会いたくなかったけど、会いたかった

「こんなとこにいたなんて、盲点」


「……っ」



大ちゃんのマンションのドアをくぐると聞こてて来た声に思わず身構える。



「ねぇ、黙ってないでよ」


「浩、ちゃん……」



やっとのことで声を絞り出すと、彼はニンマリと笑った。



「俺のこと覚えてた?記憶から抹消されてない?」


「抹消なんか……」


「行こう」



持っていた鍵でオートロックを解除する浩ちゃん。



「ま、まって……行くってどこに?」



ここは、大ちゃんの家だ。
だいたいなぜ、浩ちゃんがここの鍵をもっているのだりうか。



「別に大輔の家に行くわけじゃないよ。俺の家」


「え……?浩ちゃんの……?」


「うん。俺もここのマンションに住んでんだよ」


「そっか……」



このマンションに浩ちゃんが住んでいたから会えた。

会いたくなんて、なかったけど。

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