君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「ちょ……っ、浩ちゃん!」



浩ちゃんの香りに包まれた瞬間、走馬灯のようによみがえってくるあの頃の記憶。



「ずっと会いたかった」



さっきまでの声色とは違う。
少し掠れた声で、二人の間に流れる雰囲気が変わる。



「こ、浩ちゃん……」


「俺、お前のこと好きなんだよ。まだ」


「……っ」



浩ちゃんの振り絞るような声に、胸がぎゅうっと掴まれる。



「ごめんなさい……あたしには大ちゃんがいるから」



あたしに惜しみのない愛をくれる大ちゃんを捨てれない。
たとえ、あたしも浩ちゃんのことを忘れてないとしても。
それは恋愛感情とは、また違うから。
あたしがいま好きなのは、大ちゃんだから。



「わかってる。俺も後輩から彼女奪うつもりなんかねーよ」



わしゃわしゃとあたしの頭を撫でる。

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