君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「そっか……」


「あの頃、1度実家に帰ってるでしょ?」


「あー、仕事であっち行ったときか」



少し、考えてから思い出したように口にした。



「あたしも少しあとに帰ったんだよね。そこで、駅で浩ちゃん来てたのきいて、そして週刊誌もそこでみて……」



仕方がないことだって分かってた。
別に一緒に帰りたいとかそういうことを言ってるわけじゃない。

ただ、その日なにがあったのか。
どこに行ったのか。
そういう話をあたしは浩ちゃんとしたかった。



「あー、あいつ駅員だもんな……俺もあったな。そういえば。はぁー……俺が安心しきってたんだな」



同級生が駅員になっていて、お互い駅でその同級生に会ったということだ。


「……安心かぁ」


「何があっても、お前は俺から離れないっていう慢心」



そう、自嘲的に笑った。



「浩ちゃん……」


「いなくなってから気づくんだよ。お前の大切さに」

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