君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
切なげなひとみであたしを見る彼から目が逸らせない。



「俺のこと好きだって言ってほしい」


「……っ」


「なんて、言えるわけねーよな。大輔のこと、好きなんだもんな」



ポンポンっとあたしの頭を撫でる。



「浩ちゃん、ごめんね」



あの時、もう少し、頑張ればよかった。
あの時、もう少し、ちゃんと話す機会を設ければよかった。
あの時、もう少し、時間を作ればよかった。

でも、そんな後悔しても、もう遅いんだ。
あたしには、最大限の愛をくれる人がいる。
その人の手をあたしは選んだ。

その時から、あたしの心は大ちゃんのものだ。



「悪いのは俺だろ。ちゃんと愛莉と話す機会作らなかった」


「でも、あたしが……んっ」



もう少し頑張ればよかった。
そう続くはずだった言葉は、浩ちゃんの唇によって遮られた。

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