君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
同じ事務所の養成所に通って、先に芽が出たのは大ちゃんだった。

少なからずとも、悔しい思いをしているだろう小杉くんには、あたしも早く芽が出て欲しいと思う。



「大輔、愛莉ちゃん」



インターフォンを押そうと、大ちゃんが指を伸ばしたと同時に後ろから聞こえてきた声。



「おー、和人」



振り向いくと立っていた小杉くんに、大ちゃんが片手をあげる。



「……愛莉ちゃん?」



小杉くんの隣にいた女の子があたしに目を向ける。



「京香(きょうか)ちゃん……?」



あたしの目に映った女の子。
高校で同じクラスだった女の子だった。

筒井京香(つついきょうか)
仲が良かったわけではなく、普通だ。
でも、彼女とは浩ちゃんを取り合ったこともあった。

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