君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「仲良く話すのは結構だけど、邪魔になるから中に入ってからなー」



のほほんとした先輩風を吹かせながら、浩ちゃんが先に中に入っていく。


隣にいる、女優の吉良優樹菜(きらゆきな)の肩を抱き寄せながら。



「……っ」


「愛ちゃん?行こう」


「う、うん」



浩ちゃんの姿をみて、立ちすくむあたしを見て、大ちゃんが手を伸ばしてくる。



「行こうか」



そんな大ちゃんの手をとって、あたしも再び歩き出す。

1度も視線が合わなかったことも、隣に女優がいたことも。
仲良さげに歩いていたことも。
すべての残像を頭から消して。



「……ってか、一度もこっち見なかったし。何なのあいつ」



黙っているあたしとは違って、京香ちゃんは悔しそうな顔をしている。

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