君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「待ってよ、愛ちゃん!」



カバンに入れてるあたしをたちすくして、見ていた大ちゃん。
入れ終わって、肩にカバンをかけたあたしの腕を掴む。



「大ちゃん。いままでありがとう」


「嫌だよ、俺は別れたくなんてないよ」


「ごめんね。もう、あたしは自分の気持ちに嘘はつきたくないの」



自覚してしまった以上、このまま続けるなんてことはできない。
浩ちゃんと別れて、1人だったあたしは間違いなく大ちゃんに救われた。

毎日来てくれる大ちゃんに、うんざりしながらも少し嬉しかった。
来ない日は、気になって寂しかった。
寂しさをうめてくれたのが大ちゃんだったのは、間違いじゃない。



「どうしても、もう一緒にいられない?」


「うん。ごめんね」


「俺が京香ちゃんといるところを見たから?」


「ごめんね。京香ちゃんといるところを見なくてもこうるつもりで来たから」



未だあたしの腕を掴む手をそっと外して、大ちゃんの家をあとにした。

< 67 / 193 >

この作品をシェア

pagetop