君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
「家族のなかで辛い思いしてきた愛莉を俺は知ってるから」


「うん」


「俺が愛莉から離れるなんて絶対ないから」



浩ちゃんと離れる決意をしたとき、もう笑えなくなると思った。
実家に帰るわけにもいかないし、頼るひともいない。
でも、それでも寂しすぎた。
同じ家にいるのに、存在を感じられないのが辛すぎた。



「もう、あたしも浩ちゃんから離れるなんて言わないから」



でも、今なら。
また同じくなっても大丈夫。

離れて思い知ったから。
浩ちゃんと思いが通じあっているのがどんなに幸せなことなのか。



「俺ももう寂しい思いはさせないから」


「うん。でも、仕事のときはいいからね?ただ、違う人から色々聞くのだけは嫌だから」


「わかってる。ちゃんと連絡取り合おう。もうあの時みたいな失敗はしたくないから」



1度失敗したからこそ、分かり合える。
だから、全て意味があることだったはずだ。

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