君が好きと言ってくれるなら、なんだっていい
でも、それを隠したところで浩ちゃんにはバレるだろうから。



「俺だって大輔のよさはわかってるから。腹たったし」


「だよね」


「ニコニコ笑ってるのは演技だって知ったらどうなんのか気になるわ」


「だね」



大ちゃんは、テレビの中だけじゃなく、リアルでも演技をすることが身についている。
あたしには、そんなの疲れちゃって無理だから、本当にすごいと思う。



「いま、大輔のこと考えてる?」



浩ちゃんがあたしの顔を覗き込む。



「え?うん」


「ふーん。俺のことで頭いっぱいにしてやろうか?」


「え?」



ニヤっと笑って、あたしの手を引っ張っていく。



「愛莉、ここ覚えてる?」


「あ……」



浩ちゃんの言葉に顔をあげれば、蘇るあの頃の記憶。



「懐かしいだろ?」


「うん」

< 90 / 193 >

この作品をシェア

pagetop