銀狼と緋色のかなた
かなたは、狼の姿をしたはるかに駆け寄ってその細い体を抱き締めた。

「生きてたんだね!良かった」

しかし、はるかが今、狼になっているということは、期限までに運命の男性には出会えなかったということだ。

かなたは、はるかとヒロトを部屋の中に案内した。空月もそれに続く。

ヒロトに居間のソファに腰かけるように促すと、かなたはヒロトにはジャスミンティを、はるかと空月にはヤギのミルクを用意した。

そして、ヒロトの向かい側のソファに腰かけた。

「教えてください。これまでのことを」

狼姿のはるかは人語を話せない。次の望月(満月)になればはるかも人形になり、空月のように会話をすることも可能となるだろう。

しかし、その時では間に合わない。次の望月は、年に一度のブラッディムーンなのだから。

「4ヶ月前、僕は、北の方にある碧眼の人狼が住む村を出て旅を始めた。そして、2ヶ月程前に、人狼のはるかに出会ったんだ」

風が木々を揺する音がざわめく,,,。

ヒロトはゆっくりと、はるかとの出会いそしてこの場所にたどり着いた経緯を語り始めた。
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