銀狼と緋色のかなた
「,,,!」

"カナリアの森"に現れたヒロトは、絵本の中の王子さまのように優しそうな微笑みを称えた好青年であった。

しかし、狼の姿をしたはるかに気づくと、驚いたように目を見開く,,,。

「君は緋色眼の人狼?」

ヒロトの目の前にいる狼は、ブラウンの美しい毛並みに緋色の瞳をしている。

狼と言えども華奢な体つきは雌の狼と見分けがついた。

このあたりの野生の狼なら、シルバーの瞳をしているはずた。

ヒロトはゆっくりとはるかに近づくと、やさしくその頭を撫でた。

「綺麗な瞳だね。一人で寂しかっただろう。僕は北の町から来た、碧眼の人狼、ヒロトだよ」

優しく励ますような言葉と仕草に、はるかは心の中で涙を流した。

"もっと早くに出会えていたら,,,"

悲しい現実に打ちひしがれながらも、初めて感じる男性の優しさにはるかは安堵し、村を出て初めて熟睡することができたのだった。
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