銀狼と緋色のかなた
"狼になった人狼を人間に戻すには、この村に伝わる緋色の秘刀で御神木に傷をつけ、そこから溢れた樹液を汲み取り、ブラッディムーンの晩にそれを飲ませること"

と書かれていた。

かなたは、

"はるかと空月を人形に戻し、ヒロトと自分が人形を保つ方法を見つけることができた"

と一瞬浮き足だった。

しかし、次の一文を見て愕然とする。

"ただし、御神木に傷をつけることが出来るのは、緋色眼の人狼である刀の持ち主に限る。それ以外の者が神木に傷をつけた場合は、その場で死に至る"

"また、御神木を傷付けた緋色眼の人狼にはこの樹液の効果は効かない。何もしなければ、ブラッディムーンが終わる夜明けには死に至るであろう"

と書かれていた。

"ただし、御神木を傷付けた緋色眼の狼の命を繋ぎ、人形を保つには,,,"

それ以降の文章は紙が破れて紛失し、内容がわからなくなっている状態だった,,,。


要するに、現段階ではかなた以外の3人が人形を保つ方法はわかっても、かなたが生き残る道は残っていない、ということになる。

かなたは、破れた部分の紙がどこかに紛れてはいないかと必死で両親の部屋を整理したが、それはどこにも見つからなかった。

両下肢をペタンと床についてため息をついたかなたは、一つの計画を実行することを決意した。

明日はいよいよブラッディムーン。

愛する空月と、従妹のはるか、その恋人のヒロトを人形に戻すため、かなたはその計画を実行することにしたのである。
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