銀狼と緋色のかなた
走り去ったかなたは、空月の想像よりも簡単に見つかった。
かなたが横たわっていたのは、御神木の隣に置かれているかなたの両親の墓前だったからだ。
「かなた,,,!」
空月は真っ白で華奢な狼の姿をした、弱り果てたかなたを抱き寄せた。
「俺を置いて逝くな」
空月の切なくて低い声が暗闇にこだました。
「まだ何も伝えてない。お前、やっと今日俺と話ができるって楽しみにしてただろ?自分だけ好き放題言い逃げするなよ」
悲しげな表情を浮かべながらも空月が口角を上げて、かなたに呟いた。
"ふふ、空月のツンデレ健在"
息も絶え絶えのかなたも、強がる空月の言葉に暖かい何かを感じていた。
闇に引き込まれそうになるのを必死で絶えながら、かなたは空月を見つめていた。
"最後に空月の腕にいられるなんて、私は幸せ者"
かなたは、遠くなる意識の中で、空月の顔を見ながら天に召される幸せを噛み締めていた。
「かなた,,,、かなた!」
とうとうかなたは気を失ったようだ。だが、まだ息はあるし、心臓も動いている。諦めるわけにはいかない。
「私が手がかりを探してくるわ。それを見つけるまで、空月はかなたの側についていてあげて」
はるかは、空月にかなたがこれまで守ってきた緋刀を預けた。
「これがかなたを守ってくれると思うの」
空月ははるかの緋色の瞳を見つめて頷いた。
「僕もはるかと一緒に可能性を探すよ」
ヒロトがはるかの隣に立ち、決意を込めてその手を握りしめた。
はるかとヒロトは連れだってその場を去るのを、かなたを抱き締める空月が見送った。
命を呈して3人を人形に戻してくれたかなたの命をなんとかして救うために、少しの可能性にもかけたい。
3人は同じ気持ちだった。
かなたが横たわっていたのは、御神木の隣に置かれているかなたの両親の墓前だったからだ。
「かなた,,,!」
空月は真っ白で華奢な狼の姿をした、弱り果てたかなたを抱き寄せた。
「俺を置いて逝くな」
空月の切なくて低い声が暗闇にこだました。
「まだ何も伝えてない。お前、やっと今日俺と話ができるって楽しみにしてただろ?自分だけ好き放題言い逃げするなよ」
悲しげな表情を浮かべながらも空月が口角を上げて、かなたに呟いた。
"ふふ、空月のツンデレ健在"
息も絶え絶えのかなたも、強がる空月の言葉に暖かい何かを感じていた。
闇に引き込まれそうになるのを必死で絶えながら、かなたは空月を見つめていた。
"最後に空月の腕にいられるなんて、私は幸せ者"
かなたは、遠くなる意識の中で、空月の顔を見ながら天に召される幸せを噛み締めていた。
「かなた,,,、かなた!」
とうとうかなたは気を失ったようだ。だが、まだ息はあるし、心臓も動いている。諦めるわけにはいかない。
「私が手がかりを探してくるわ。それを見つけるまで、空月はかなたの側についていてあげて」
はるかは、空月にかなたがこれまで守ってきた緋刀を預けた。
「これがかなたを守ってくれると思うの」
空月ははるかの緋色の瞳を見つめて頷いた。
「僕もはるかと一緒に可能性を探すよ」
ヒロトがはるかの隣に立ち、決意を込めてその手を握りしめた。
はるかとヒロトは連れだってその場を去るのを、かなたを抱き締める空月が見送った。
命を呈して3人を人形に戻してくれたかなたの命をなんとかして救うために、少しの可能性にもかけたい。
3人は同じ気持ちだった。