銀狼と緋色のかなた
刻刻と時間が過ぎていくなか、はるかとヒロトははるかの両親の部屋に籠っていた。
しかし、一般的な書籍が残されているばかりで、目的の物はどこにも見当たらなかった。
かなたの父親とは違い、その双子の弟であるはるかの父親はとても用心深い性格をしていた。
"そんな父が、人目につくところに大切なものを隠すはずがない"
はるかは分別する手を止めて苦笑した。
「どうした?はるか。疲れたのかい?少し休もうか?」
隣で常に優しい気遣いを見せてくれるヒロト。
こうして人間として触れあえる状況は幸せでしかなかった。
,,,なのに、かなたは狼として空月の腕の中で生き絶えようとしている。
「いいえ、続けるわ。大丈夫」
はるかは首を振ると、ヒロトに向かって微笑んだ。
「そうか、無理しないで」
ヒロトは優しくて誠実だ。空月も同じように誠実に違いない。
人狼といえど、緋色の人狼とは2人とも別種族。
自分の種族を繁栄させるために、この村の秘密を暴いて、はるかやかなたを悪用しようと思えばできたはずだ。
ヒロトが優しく微笑むのを見た刹那、
『はるか、簡単に男を信用してはいけないが、もしも信頼できる相手に出会えて人形を保つことができていたなら、この村に戻って裏の神殿を訪れるといい。この森の秘密を教えるよ』
村を出る2年前、はるかが18歳の誕生日に、お酒を飲んだ父が上機嫌に語ったことを思い出した。
さらに、父がはるかが村を去る日にお守りとして渡した"緋色の勾玉"にまつわる秘密のことも,,,。
はるかが村を去った半年後に、はるかの両親は死んだのだと、先日、かなたに教えてもらった。
自分の死期を知っていた父は、遺言としてあの言葉を残し、遺産として緋色の勾玉を渡したのだ。
はるかは、すべてのことをこの瞬間に理解した。
"きっと勾玉は神殿の入り口の鍵だ"
「ヒロト、探しているものはここにはないわ。案内したいところがあるの、ついてきてくれる?」
ヒロトは、てにしていた書籍を置くと、頷いて、はるかと共に神殿へと移動した。
しかし、一般的な書籍が残されているばかりで、目的の物はどこにも見当たらなかった。
かなたの父親とは違い、その双子の弟であるはるかの父親はとても用心深い性格をしていた。
"そんな父が、人目につくところに大切なものを隠すはずがない"
はるかは分別する手を止めて苦笑した。
「どうした?はるか。疲れたのかい?少し休もうか?」
隣で常に優しい気遣いを見せてくれるヒロト。
こうして人間として触れあえる状況は幸せでしかなかった。
,,,なのに、かなたは狼として空月の腕の中で生き絶えようとしている。
「いいえ、続けるわ。大丈夫」
はるかは首を振ると、ヒロトに向かって微笑んだ。
「そうか、無理しないで」
ヒロトは優しくて誠実だ。空月も同じように誠実に違いない。
人狼といえど、緋色の人狼とは2人とも別種族。
自分の種族を繁栄させるために、この村の秘密を暴いて、はるかやかなたを悪用しようと思えばできたはずだ。
ヒロトが優しく微笑むのを見た刹那、
『はるか、簡単に男を信用してはいけないが、もしも信頼できる相手に出会えて人形を保つことができていたなら、この村に戻って裏の神殿を訪れるといい。この森の秘密を教えるよ』
村を出る2年前、はるかが18歳の誕生日に、お酒を飲んだ父が上機嫌に語ったことを思い出した。
さらに、父がはるかが村を去る日にお守りとして渡した"緋色の勾玉"にまつわる秘密のことも,,,。
はるかが村を去った半年後に、はるかの両親は死んだのだと、先日、かなたに教えてもらった。
自分の死期を知っていた父は、遺言としてあの言葉を残し、遺産として緋色の勾玉を渡したのだ。
はるかは、すべてのことをこの瞬間に理解した。
"きっと勾玉は神殿の入り口の鍵だ"
「ヒロト、探しているものはここにはないわ。案内したいところがあるの、ついてきてくれる?」
ヒロトは、てにしていた書籍を置くと、頷いて、はるかと共に神殿へと移動した。