銀狼と緋色のかなた
「ここは?」
はるかの家から数十メートル離れたところにある裏庭には、ちょっとした竹林が広がっていた。
竹林の奥には守られるように、小さな神殿が存在していた。
入り口には扉がつけられており、不思議な形の鍵穴があった。
「実は私も今日初めてここに足を踏み入れるの」
はるかは迷いなく、首からぶら下げていた緋色の勾玉をそこに差し込んだ。
鍵穴は"勾玉"の形をしていた。
思ったとおり、それは鍵穴にピタリと合い、スムーズに扉は開いた。
神殿の中には、小さな神棚と、それを囲むように二つの本棚があり、古い書物が並んでいた。
そこには、人狼の秘密について書かれた本が複数あり、長年に渡って大切に守られてきたことが理解できた。
そうなると、かなたの父親の部屋にあったあの書物の扱いが、あまりにも雑だと感じてしまうのは当然だろう。
"もしかしたら、はるかの父が、いずれ、かなたがはるかを助けることを期待して、もしくはこうなることを予測して、あの書物をかなたの父親の部屋に預けていたのかもしれない"
なぜか、はるかはそう思った。
ふと、はるかは神棚の中央に飾られている鏡に目をやった。
その横に、古い書物と透明なファイルに挟まれた紙切れを見つけた。
"やはり父は、こうなることを予測していたんだわ"
はるかは確信をもってその書物とファイルの中の紙切れを手に取った。
はるかの家から数十メートル離れたところにある裏庭には、ちょっとした竹林が広がっていた。
竹林の奥には守られるように、小さな神殿が存在していた。
入り口には扉がつけられており、不思議な形の鍵穴があった。
「実は私も今日初めてここに足を踏み入れるの」
はるかは迷いなく、首からぶら下げていた緋色の勾玉をそこに差し込んだ。
鍵穴は"勾玉"の形をしていた。
思ったとおり、それは鍵穴にピタリと合い、スムーズに扉は開いた。
神殿の中には、小さな神棚と、それを囲むように二つの本棚があり、古い書物が並んでいた。
そこには、人狼の秘密について書かれた本が複数あり、長年に渡って大切に守られてきたことが理解できた。
そうなると、かなたの父親の部屋にあったあの書物の扱いが、あまりにも雑だと感じてしまうのは当然だろう。
"もしかしたら、はるかの父が、いずれ、かなたがはるかを助けることを期待して、もしくはこうなることを予測して、あの書物をかなたの父親の部屋に預けていたのかもしれない"
なぜか、はるかはそう思った。
ふと、はるかは神棚の中央に飾られている鏡に目をやった。
その横に、古い書物と透明なファイルに挟まれた紙切れを見つけた。
"やはり父は、こうなることを予測していたんだわ"
はるかは確信をもってその書物とファイルの中の紙切れを手に取った。