妖怪少女、現世へと参ります。
「薫、杏子」
お茶を飲んでいた二人に声をかけ、青葉からの情報を伝えた。
「青葉さんからの情報は有り難いですね」
「……でも、やっぱり青葉は青葉なのねぇ……」
ほぼ私と同じ様な反応をしていた。
……青葉はそれでいいのか。
私が内心突っ込んでると、薫がはぁとため息を吐いてこんな事を言った。
「……でもどうするんでしょうか。
僕たちがいくら情報を集めたところで……根本的な解決にはなりませんし」
彼の顔はまた少し暗くなり、耳もペタンと垂れている。
落ち込んだり不安だったりの時の彼だ。
「でも私たちの情報は常世の妖怪たちには伝わってるわよ?
薫の"狼男"仲間の情報も、私の記者仲間の情報も信頼できるし」
杏子はお煎餅を頬張りながらそう言う。
記者である彼女は、正確な情報を伝えるのが自分の仕事だと思ってるんだろうけど。
こういうので戦線に立つことの多い私からすると……それだけで良いのかと思ってしまう。
それは、薫も同じなのだろう。
「……とにかく今は私たちに出来ることをしましょう。
杏子の言う通り正確な情報も大切です」
「……ですね」
……さて、これから便利屋は忙しくなりそうだ。
私は今回の事の情報をまとめた紙を、店先に貼っておく事にする。
その最後には、こう書いた。
《現時点で分かっている情報は数少ないです。
嘘の情報が広まらないよう協力求みます。
なお"大嶽丸"に関しての依頼は出来る限りは受けていきますのでよろしくお願いいたします。
便利屋 波瑠》