月と薔薇のプレリュード
___小学生みたい…
「お前はガキか」
呆れたような真は柚菜にチョップをかますなり、不意に真剣な顔で私の方を向いて、
なにか言いたげに口を開いたと思えば、やっぱり言うのを止めたようで口を閉じた。
何を言おうとしたんだろう? と、頭の中をハテナマークで埋め尽くしながら、ポカンとしていれば、
「こいつ、しばっといて」
と、爽やか笑みを残したまま真は教室を後にした。
「なんであんな性格なのに、最近女子にモテる訳!?」
頭を抑えながら、喚く柚菜は、恨めしそうに教室を出て行った真の後ろ姿をあっかんべーをしていて。
「確かにカッコイイのは認めるけどさ!性格がだめだよね!」
「うーん、ただ単に柚菜にだけにしかちょっかい出しているにしか見えないけれど」
「なんで私だけなのさ!というか、真は花音は優しすぎるて、私の扱いと180度違うよね」
「柚菜のことが好きだから、かまってほしいんじゃない?」
特に何も考えずに、ポロっと言った瞬間、空気が凍ったような気がした。
「は?」
結構真面目なトーンの柚菜に、「え?」と困惑の色を滲ませていれば、
「ない、ないないないない」
「いや、そんな猛否定しなくても」
柚菜があまりにも大げさに首を振るもんだから、真に少し同情する。
「というか、花音、本気でそれ言ってんの? あんた天然なの? 馬鹿なの?」
「え、まって、なんの話」
「……いいや。なぁーんでもなぁーい。真に同情するわ」
「なんで!?」
「ひーみーつー」
やけにニタニタする柚菜に、顔をしかめながら首を傾げた。