月と薔薇のプレリュード
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チャイムが鳴って、数学のテストが終われば、教室は一気に騒がしくなって。
__つ、つかれた…
どっと肩の力が抜けて、眠気が襲ってくる。
ボーッとしながらペンケースにシャーペンをしまっていると、柚菜の死んだ声が降りかかってきた。
「もう数学はこの世から滅びてほしい」
「柚菜が言うと、呪いに聞こえる」
肩を竦めながら、苦笑を零す。
「呪うよ、本当に。数学のせいで生きていけない」
死んだ魚のような目ってこういう状態のことを言うのかもしれない、と失礼な事を考えていれば、
「柚菜の目、死んだ魚みてぇ」
と、楽しそうな声が降ってきて、ギョッとする。
___もっとオブラートに言おうよ…
案の定、真が不敵な笑みを浮かべていて、案の定、柚菜はドスの効いた声で「はぁ?」と口論を始める。
__よく飽きないもんだなぁ。
のほほんと受け流していれば、不意に二人の視線が自分に向けられていることに気付いて、「え?」と固まる。
「な、なに?」
視線の耐えきれず、眉をひそめれば、真が首を傾げた。