良薬は口に苦し
「ナナミちゃん〜
俺も会いたかったよー」
旬………
お前の言葉は真っ直ぐなのにな………
「旬ちゃん、
お友達紹介して〜」
「あ、俺の悪友の里中弘明」
「ナナミでぇ〜す。
宜しくお願いしま〜す。
旬ちゃんの次にイケメンさん」
「そりゃどうも」
この女狐め!
「嬉しいな〜ナナミちゃん。
俺、いつも里中の引き立て役よ」
「ヤダ、旬ちゃん。
私は里中さんもイケメンだと思うけど、旬ちゃんの方が好みよ!」
『このイケメンは一見さんに過ぎない。
旬ちゃんを大事にしといた方が懸命だわ』
見事だよ………
女狐。
君が旬に害をもたらす女なら排除も考えるが、ただ単に商売上手な女なだけ。
旬はこういう女に貢ぐ業があるのかもな……。
俺は、親友の旬にさえ、聞こえてしまう声の事を話さない。
こんなもん、聞きたくて聞いてるわけじゃないんだ。
こんなスペックを持たされた俺の業と上手く付き合うしかないじゃん。
話したところで気味悪がられるのがオチ。