良薬は口に苦し
「桃子ちゃんは肩凝り?」
俺は警戒心を解く為に何気ない質問をしてみた。
「あら、分かります?
最近、肩凝りが酷くて………」
「うん。
何となく、前屈みで伏し目がちだったからさ…
相当キツイのかな?って思った」
「もしかして、整体師さんとか?」
「いやいや違うけど………」
「あぁーあ〜仕事を明かしちゃうと益々女子は里中贔屓になるから辞めてくれよー」
旬、安心しろ!
女狐には興味なし。
俺がまず旬を裏切る事はない。
「里中さんのお仕事知りたい〜」
女狐が目をキラキラさせながら甘ったるい声で聞いてくる。
と、同時に…………
『もしや、金持ちとか?
なら桃子に何とか次に繋げさせないと!
イケメンで金持ちか………旬ちゃんの友達じゃなかったらな〜私が頂くのにぃ〜』
心の声さえ聞こえなきゃね…もう少し、生きやすいね………
仕方ないな………
俺は桃子の前に自分の名刺を置いた。