主任とルームシェア始めました


主任の家に着き、荷物を運び終わると、河谷主任がコーヒーを入れてくれた。

「ルール、決めようぜ。」

コーヒーを飲みながら、主任が言った。

「ルール?」

「俺からの要求はふたつ。
お互い異性を連れ込まないこと。
家では名前で呼ぶこと。」

「異性?」

「男を連れ込むなって言ってんの。
お前だって、帰ってきて俺の部屋から
喘ぎ声がしたら、やだろ?」

「あぁ、そうですね。
まぁ、私は言われなくてもしませんけど。」

「相手がいないから?」

主任がにやにや笑う。

「そうですけど、何か!?」

「いや。」

まだ笑ってる。

「でも、名前で呼ぶ必要はありませんよね?」

「お前、仕事から帰って来たのに、
『主任』とか呼ばれたら、リラックス
できないだろ?
俺も『遥』って呼ぶから、お前は『佳悟』って
呼べ。」

「えぇー!?
主任を呼び捨てにはできませんよ。」

「本人がいいっていってんだから、
いいだろ。」

「んー、せめて、『佳悟さん』?
『佳悟くん』? 『けいちゃん』?
うん、『けいちゃん』でどうです?
仕事モードは払拭されますよ。」

「ま、いっか。
その代わり、主任って呼んだら、
罰ゲームな。」

「罰ゲームって?」

私は恐る恐る聞く。

「間違えたら、相手の言う事を何でも聞く。」

「え!?」

「間違えなきゃ、いいんだし、簡単だろ?」

うーん、簡単か?

「はい。」

私はしぶしぶ頷いた。


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