主任とルームシェア始めました
「けいちゃん」
「何?」
「恥ずかしいから、会社の人には付き
合ってる事、内緒にしない?」
「は?
お前、大野ん時は、オープンだったのに、
なんで俺は内緒なんだよ?」
「だって、毎日一緒に仕事してるんだよ。
付き合ってるって言ったら、周りも気まずい
だろうし、何より、けいちゃんは女子社員の
憧れだから、私、視線で殺されるよ。」
「ヤダ。
お前、大野と別れた途端、2週連続で男に
口説かれた自覚ある?
俺は、毎週、お前が口説かれるのを見るのは
嫌なんだ。」
「………」
だから、月曜日、私たちは一緒に出勤した。
しかも、けいちゃんは、私の手を繋いで離さない。
1階エレベーターホールで既にざわついている。
「遥!」
「由貴、おはよう」
「おはよう。ってか、説明してよ。」
周りが一斉に聞き耳を立てたのが分かる。
「足立さん、おはよう。」
けいちゃんが由貴に、にっこりと挨拶する。
「河谷主任、おはようございます。」
由貴の視線が私とけいちゃんの間を行ったり来たりする。
その時、有村くんが入って来るのが見えた。
「あ!
けいちゃん、ごめん、先、行ってて。
他の人から聞く前に、ちゃんと話したい
から。」
すると、けいちゃんは頷いて手を離してくれた。