少年と魔女

少年18サイ









「えー、この本はたしかあっちで、これはえーっと」



“カウンター前の本棚だよ”



「ジル!もう本の仕分け終わったのか?」



“当たり前だろ。お前は記憶力がないよな”



「うるさい。ずっとやってればそのうち覚えるだろ」



“俺の名前覚えるのにも半年かかったのに?”



「…僕のことはいいだろ。それよりジル、頼んでた本探してくれた?」



“これだよな。それにしてもこんな本誰が読むんだ?”



「最近来てくれる女の子いるだろ?」



“ああ!クレアさん家の子か”



「そうそう、クレアさんだ。これが読みたいっていってたんだよ」



“まさかクレアさんに子供がいるなんてびっくりだよなー”



「そうなの?」



“そうさ。あの人1度子供捨ててるらしいぜ”



「…へえ。僕はそういうの、理解できない。けど、あの子幸せそうだし今はいいお母さんなんだろ」



“ま、子供が幸せそうならいいよな”



「うん。…捨てられちゃった子も、幸せだといいね」










< 20 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop