少年と魔女
少年18サイ
「えー、この本はたしかあっちで、これはえーっと」
“カウンター前の本棚だよ”
「ジル!もう本の仕分け終わったのか?」
“当たり前だろ。お前は記憶力がないよな”
「うるさい。ずっとやってればそのうち覚えるだろ」
“俺の名前覚えるのにも半年かかったのに?”
「…僕のことはいいだろ。それよりジル、頼んでた本探してくれた?」
“これだよな。それにしてもこんな本誰が読むんだ?”
「最近来てくれる女の子いるだろ?」
“ああ!クレアさん家の子か”
「そうそう、クレアさんだ。これが読みたいっていってたんだよ」
“まさかクレアさんに子供がいるなんてびっくりだよなー”
「そうなの?」
“そうさ。あの人1度子供捨ててるらしいぜ”
「…へえ。僕はそういうの、理解できない。けど、あの子幸せそうだし今はいいお母さんなんだろ」
“ま、子供が幸せそうならいいよな”
「うん。…捨てられちゃった子も、幸せだといいね」