少年と魔女
少年22サイ
“ロキくーん!これよんでー!”
「エレナちゃんこんにちは。ごめんね、まだ読み聞かせの時間じゃないんだ」
“えーー!”
「もう少しだから待ってられる?」
“わかったー!”
「ふう…。本の仕分けももう終わるし、あとはジル…はまだ出勤してないか。
さすがにこの仕事も5年経つと慣れたなー。ん??」
“西の大陸に児童養護施設建設”
「そっか…捨てられた子もここで育ててもらえるのか。すごいな…」
「おっとこんな時間だ。エレナちゃんに本読んであげないと」
“あ、ロキさんこんにちは”
「こんにちはクレアさん。エレナちゃんは…」
“エレナでしたら館長さんのところへ行っちゃいました”
「館長子供に甘いからなー」
“ふふ。それより記事読みました?”
「え、ああ…児童養護施設の?」
“はい。私、1度子供を捨てているんです。
産まれてすぐ私が落としてしまい…頭を打っちゃって”
「…。」
“もしかしたらこの先、記憶障害になるかもしれないし、知力も…って言われて。
私の家にそんなお金はなくて、そんな子に愛情を注ぐ自信もなくて…
最低ですよね。もしあのとき児童養護施設があればよかったのに”
「そうですね…。
…クレアさんはどうしてエレナちゃんを産む気になったんですか?」
“実は街のなかであの子に会ったんです。幸せそうに笑ってて…
それだけで許してくれたんじゃないかって気がして。
次に産まれてくる子は絶対幸せにしようと思ったんです”
「…エレナちゃん幸せそうですものね。きっとその子も幸せだと僕は思います。
もし障害があっても、きっと幸せですよ」
“ありがとうロキさん…”
「いいえ、こちらこそ」
“そんな、私はなにも…”
「名前を呼んでくれるお礼です。僕、この名前お気に入りなんです」