少年と魔女
少年45サイ
“起きてフレイヤ!”
『ん、んん…。こっ、これは…?』
“人間たちが村に火をかけたの。みんな魔女狩りにあっているわ。いずれ私も…
フレイヤ、あなたはロキと逃げなさい”
『え…、いやだよっ。お母さんは!?』
“私の役目は家を守ること。さあ、はやく行きなさい!ロキ!”
“ごめんフレイヤ。こっちだ!”
『お母さん!!!』
“よし、ここまで来れば安全だ。…俺がフレイヤのことを守る。だからお前は安心してここにいてくれ”
『ねえ、なんで!なんでみんながっ、お母さんがっ…』
“ばか。泣くなって。お前は笑ってる顔が一番輝いてるんだから”
『……っ』
“俺たちに何かあっても人間を憎んじゃいけない。人間と俺たちはお互いを知っているようで、何も知ろうとしていなんだ”
『ロキ…?』
“いつかは解り合えると信じている”
『なんでそんなお別れみたいなこと…』
“…そろそろ行かなきゃな。いいか、よく聞けよ。ここには特別な結界が張ってある。一度外に出れば中には戻ってこれない”
『ねえ、ロキ…!?』
“何も音がしなくなるまで外に出るんじゃないぞ。約束しよう
それじゃあ、いってきます”
『ロキ!!!』
“フレイヤ…。愛しているよ”
『待って!!』
“フレイ、ヤ、、、”
「…そして私は彼の手を触ってしまった。私を守ろうとした彼の手をとってしまった。
私は彼の寿命を吸いとって今生きているのだ。
どれくらい経っただろうか、外からはなにも聞こえない。
ロキにお別れを告げて外へ出た。もうここへは戻ってこれない。
…。なんだよ、これ…」
『私の過去よ』
「フレイヤ…」
『魔女の村の留学に来たロキを使って、いろいろ報告させてたみたい。そして…魔女狩りが始まったわ』
「ごめん。勝手に読んで…。もういい。もういいよ」
『ロキは人間に騙されて、魔女たちからも人間のスパイだと罵られたわ。それでも私を助けようと…』
「もう喋らなくていい!もう、思い出さなくていいよ…」
『なのに、それなのに!私が彼の命を奪ったの…。こんな魔法…』
「フレイヤ!!お願いだ、もう眠ろう。涙を流す君を見たくないんだ」
『………っっ。うぅぅっ』
「ごめん。ごめん……。おやすみ、フレイヤ」