恋が枯れるまえに、約束を
一瞬、背後に人の気配を感じて、
反射的に後ろを振り返る。

がしかし、誰がいる訳でもなく、
特に変わった様子はなかった。


…早くここを出よう。


ここへ来た意味を忘れそうになる思考は、義務感というギリギリの繋ぎをしっかり真っ当しようとしていた。


「それにしても、資料室ってどこ…?」


だいぶ進んだとは思うのだけど、お目当ての場所は中々見つからない。


奥に向かうにつれ、空気がひんやりするのを
肌で感じた。


そろそろ、私の自制心がぷつりと
切れそうになった時、



───ギィイ、ギィ…



「…え?」

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