恋が枯れるまえに、約束を
ピタ─────…


ひっ!?


「お、お兄ちゃぁ……ッ」


恐怖に負けた私は、恥ずかしい事に、半泣きになりながら何処にもいないお兄に助けを求めていた。


反射的に身構えて、目をぎゅっと閉じるが、
異変はない。


しかし、ダイレクトに伝わる背後の気配に
背中がゾッとしているのは確かだった。



「……ッ」


「………」


「……、、」


あ、あれ??
何も起きない…?


それが分かると、私は後ろを振り返れず
とも、声を出して問いかけてみた。


「…だれ?」




「……あの、」




ビクッ


少しの沈黙の後、低過ぎず、透き通った声に
一瞬驚いたが、それと同時に安心すらもした。


…人?男の人??


恐る恐る、私は後ろを振り返ると、


「…なんかごめん」


彼はそう言って、力無くへたり込む
私の前に現れた──────。


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