恋が枯れるまえに、約束を




「はい、到着」


そう言って着いた場所は、
微かに見覚えがあった。


「あれ…ここさっき………あ、」


やだ…、見落としてたなんて。


はやくこの場から出たい一心で
どんどん奥に進んでしまっていた。


「それ、さっちん(佐々木)に頼まれたやつ
でしょ?だからここだと思った」


さっちん……。


なんて愛嬌のある呼ばれ方
なのだろう。


そんな事を思いながら、私は深々と
頭を下げお礼した。


「ありがとうございます」


「いいえ」


あのままずっとまっすぐ進んでいたら、
お昼休みが無くなってしまう所だった。


ようやく雑務から解放され、先輩ともここで
失礼しようとまた一つ会釈する。


「本当に助かりました」


今度はしっかりと礼儀良く。


「もう迷んなよ、雨寺」


よし戻ろうと、私は踵を返そうとしたのに、
その言葉がそれを止めさせた。

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