恋が枯れるまえに、約束を
*第1章*
○ただ、坦々と
私がまだ小さい頃は、少し年の離れた兄と、血の繋がらないおばさん達の4人で暮らしていた。
お母さんは私たちを産んですぐに他界してしまい、お父さんもそれを追うかのように逝ってしまった。
おばさん達は優しかったけど、どこか私たちに同情の目を売りつけていた。
親を亡くした子兎。純白の白を身に纏うそれの目に映るものは全然、綺麗じゃなかった。
間も無くして、14を迎えた私と、18の兄、真尋(まひろ)は2人で故郷を出た。
天国へ逝ってしまったお母さん達が残してくれた大きなお金と、まだ少し頼りない私の小さな手を引っ張る、お兄の背中を見つめながら。
「お兄、まだ着かんと?」
「着かんよ、3時間あるし」
「暇やんな」
「…」
「…」
「ごめん、お兄ちゃん……」
すべては私のため、半分はお兄の大学のために私たちは家族の思い出の場所を手放した。
「しゃあないわ、もういいよ」
「…うん」
4年も引きこもった私は、おばさん達の手を煩わせ、近所からも手のかかる妹をもって大変だと、お兄の名に傷を付けた。
散々みんなに迷惑をかけた上、こんな形で故郷を出てしまったという事は、もう福岡に帰る事は出来ないのだろう。