恋が枯れるまえに、約束を
「はあ……ふふっ」


「あれ、本当はチョコだめだった?」


そのため息に先輩は勘違いする。


それに対し私は必死に首を横に振れば、
言った。



「嬉しんだと思います」


「え?」


「いえ……、その……、
なんだかおかしくて…楽しくて…」


なんて、どうしてそう行き着いてしまったのか
分からないけど、確かにそう思ったんだ。


「それが多分…嬉しくて」


そして彼の陽気さが羨ましい。




───そういえば私…、



高校に入ってからどのくらい繕い
偽ってきたんだろう。


どのくらい、、それが当たり前になって、
違和感すらも忘れていたんだろう。


チョコレートをくれた事が嬉しかったんじゃない、場所を案内してくれた事が嬉しかったんじゃない。


理沙以外のこういう感覚が懐かしくて、
つい猫かぶりを忘れて怒ってしまった事、


先輩のそんな困ったように笑う顔が面白くて、、
不覚にも救われたような気がした。

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