恋が枯れるまえに、約束を

○同じ場所




「…」


「…」


そう言ってから、2人の間には沈黙が続き、
見事なまでの息苦しさが生まれた。


「……っ」


しかし、先に耐えられなくなったのは
先輩の方だった。


カアアアアッと顔を真っ赤にさせる姿は意外で、
なんとも新鮮で。


「や…あの、、初対面なのに何
先輩面してんだって感じだよね……」


「……」


「その…今のは、忘れて……」


「~~~~~っ」


あまりにも真っ赤に染めながら言うものだから、
私もつられて赤面してしまう。


「も、もう…っ、キメるならちゃんと
キメて下さいよ……」


「あはは、ごめん…」


さっきだって十分先輩面していたはずなのに、本気になると帰って恥ずかしくなってしまう人なんだと知った。


なんだそれ……、
それはなんとも……、


「ふふ、可愛いですね」


なんて笑って言って見せれば、
ようやく先輩はムッとしてくれた。


「は?どの口が言ってんの?」


「んう!せんぱ…いらいれすっ」


頬を大きく摘まれ、ヒリヒリする。


それでも、先輩を負かせた気がして
なんとも誇らしい気分だった。



「生意気」


「……」



でも、私は先輩には敵わないかな。



馴染めない場所が居心地の良いものに変われば良い…、そんな素敵な前向きさを私はあいにく持ち合わせていなかった。


でもこの先、その言葉を思い出せば
頑張れるような気がした。


「先輩」


「ん?」


「ありがとうございます…」


本当に心からそう思って、この一言で
それが伝われば良いのにと思った。


「いーえ」


そう言えば、先輩は小さく笑って
はにかんだ。

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