恋が枯れるまえに、約束を

……



「っと、そろそろ良いかな」


「?」


先輩はケータイの電子時計で時間
を確認すると、そう言った。


「お昼、食べ損ねるぞ」


同じように私にも画面を開き時間を見せれば、
丁度時刻は13時になっていた。


次の授業まであと残り30分、確かにそろそろ
お昼を済まさなければならない時間だった。


「そうですね、戻ります」


「大丈夫?」


気を利かせてくれたのか、
その言葉に私は頷いた。


「はい」


裏庭まで行って食べるには少し
時間がないし、それに────、


〝今は自分に馴染めない場所かも知れけど、いつかそれが居心地がいい。って思える場所になってればいいね〟


先輩がそう言ってくれたから、まずは少しだけ
踏み込んでみるのも悪くないと思った。


「教室で……食べる」


とは言っても、一緒に食べる相手なんて
いないけど。


でも、今ある自分の空間から逃げて
ばかりもいられないと思ったんだ。


そう言えば、先輩は「そっか」と
言って、応援してくれた。

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