恋が枯れるまえに、約束を

「じゃあね」



なんて言って手を振るものだから、
私は首を傾げる。


「先輩も戻らないんですか?」


もうすぐお昼休み終わっちゃうけど……。


…と言うか忘れかけていたけど、
どうして彼はここにいるだろう。


今になってそれを思えど、
先輩は首を横に振る。


そして窓の向こうをじっと見つめながら、
黙り込むのだ。


「俺はまだいいや」


一体何を見ているのだろうと思ったが、ただただ
微かに見える校舎を眺めているだけだった。


「…そう、ですか」


…まあ確かに、先輩と一緒に廊下を
歩いてたら、目立ちそうだしね。


「じゃあ、これで…」


私はそれだけ言って、小さくペコリと
会釈した。


そうして踵を返せば、
教室に戻ったのだ──────。

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