恋が枯れるまえに、約束を
「理沙〜、帰ろー?」


ベランダの柵に手をついて外を眺める
理沙を見つければ、背後から言い放った。


「おー、伊織」


それに気づくなり、理沙は私に手招きするもの
だから、同じベランダに入った。


「何を見てるの?」


「あそこの集団」


そう言って、理沙は正門近くにいる
男子の集団を指差した。


そして、よく周りを見てみれば、彼らを注目する
人は私達以外にもたくさんいた。


「アイドルみたいだね」


私は一言そう言えば、理沙は「そうでしょそうでしょ!!」と、食いついてきた。


類は友を呼ぶとはこの事
なのだろうか。


あんなに見栄えが良ければ目立って仕方ないだろうと思いながら、私も周りのように彼らを凝視した。


すると───、


「!!」


その1人に見覚えがありすぎて、
思わず理沙の肩を叩いた。


「ね、ねえ!!理沙っ!」


「痛い痛いっ…な、何??」


あまりにも興奮している様子に、
理沙は不思議そうに私を見た。


「あれ、あそこ!」


「ど、どれ?」


「あの、背が高くて、」


意地悪で、


「片手にケータイ持ってる、」


でもたまに可愛くて、


「爽やかそうな人!」


旧校舎で出逢った、先輩───。

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