恋が枯れるまえに、約束を
「…じゃあさ、」


…でも、知ってしまったんだ。


そんな景色はもう二度と訪れない、
二度と戻ってこないことを。


だから、私の景色はこんなにも今
色褪せてしまったんだろうね。


ぽっかり空いたこの気持ちは
柊のせいなんだ。


今は一生懸命、その穴を埋めつくさんばかりの
何かで満たされたい。


でも、その穴はあまりにも
大きすぎたんだ。


これも全部全部君のせいだよ、柊。


そう思えば、私は気の抜けたように
小さく笑い、言った。


「私にたくさんの景色を教えてよ」


諦めたのか、切り替えられたのか、よくわからない気持ちが交差して、私は今どんな顔をして言っているのだろう。


厄介な気持ちだけ私に芽生えさせて消えてしまう柊の代わりになる気持ちを、私は欲しいんだ。


そう言うと、理沙は少しの間、口を
閉ざしたが、また口を開けば、


「任せなさいっ」


と、はにかんで応えたのだ。


少し儚そうな、まっすぐな瞳で。


「…」


一生報われない気持ちを背負ったまま枯れ落ちて消えていくくらいなら、私は抗いたい。


このどうしようもなく柊が好きな
気持ちに────。


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