恋が枯れるまえに、約束を




あれから散々理沙に買い物を付き合わされ、
食べては寄り食べては寄りを繰り返した。


私も理沙につられて1つアクセサリーを
買ってしまったけど、割と気に入っていた。


ターコイズのブレスレットは、透き通るような
群青色が、故郷を思い出させる。


綺麗だな……。


そう思えば、良くも悪くも結局私は故郷が
好きなんだと、なんだか安心した。


「あー、満喫満喫」


「楽しかったね」


2人そう言って時間を確認すれば、
時刻はあっという間に20時を過ぎていた。


「そろそろ帰らないと真尋さん
心配するんじゃない?」


理沙は気を利かせるように問えば
私は頷いた。


「そうだね、帰ろう」


「きっとこの後電話とか来ちゃうね」


「……えー」


なんて私は嫌そうに返せば、
理沙は小さく笑った。



ここに来てからはお兄と一緒に生活しているけど、門限や身の回りの事には厳しくて、正直故郷にいた頃よりもルールが制限化した。


「都会は何かと心配だもんね」


お兄の意図を代弁するかのように、
理沙はそう言ってケータイをしまった。


「うーん…」


まあ確かに、と自分にも納得させれば、
私たちはお互いの帰路を歩いた。

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